声優さんにはなりたくない

　なりたくないのです。声優さん。

　と言うと語弊があるのだけれども…。
　声優さんは、すごく好きです。ステキなアニメや映画の吹き替え、ナレーションだってなんだってステキ。

　だけど、そうそうなれるものでもない…。

　何でもそうだけれども、人気勝負の商売だから、仕事にしようとすると、やはりそれなりに演技力とか声の質とかとは違うものが必要になってくる…時代なんだろうな、という…。

　ただ歌うことが好きでも、歌がずば抜けて上手でも、必ずしも歌手になれるとは限らないように、演じることが好きで、とても演技が上手でも、声優という枠に入れない人はたくさんいるし、入れたって、その他大勢にうずもれている人が、ごまんと居る。

　それは良いのだけれども。
　それでも、なりたい人は真剣に目指すのだろうし、純粋に目指している人はいっぱいいるだろう。

　けど…なんていうのかな。
　そういう純粋さを踏みにじるものが、たくさんあるような気がする。

　汚いものだって、たくさん見ないといけないだろう。

　いつしか、本当に欲しかったものとか、本当に求めていたものとは、違う自分になっているんじゃないかな、と、思う。

　お稽古ごとの先生は、以前プロだった人だけれども（声優とは全く関係ありませんが）、芸能の世界なんて入るものじゃない。趣味でやるもんですよ。と、おっしゃる。

　私も、その通りだと思う。

　昔は声優さんを目指したこともあったけど…。今はもう、なりたくない。
　ネット上で、同じ志を持った人たちと、一つの作品を作り上げるのに必死になっているほうが、ずっと健全なような気がするから。